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冷え性とは、末梢血管に血行障害が起こって、手足などの末端(時には体幹の方まで)の温度が下がって冷えているような感覚が常に自覚される状態のことです。

男性に比べて女性に冷え性が多い理由は、まず平熱の違いがあげられます。平均で見ると男性と比べて0.3度~0.5度くらい平熱が低いとも言われており、熱を生み出す働きのある筋肉の量が少なく、熱を生み出せない脂肪が多いという体の構造の違いも冷え性の原因とされています。

また、ホルモンの影響も考えられます。ホルモンバランスがくずれると自律神経の働きが乱れて、交感神経と副交換神経がうまく働かなくなってきます。すると抹消の血管に血行障害が発生して冷えを生み出します。更年期になって、顔がのぼせたり、火照ったりするのに手足は冷えるなどの症状がでるのも、ホルモンのバランスが崩れたために起こる更年期障害特有の症状の一つです。

さらに間違ったダイエットなども冷え症の原因となります。これはタンパク質、ビタミン、ミネラル、脂肪などの摂取不足から栄養失調を生じるからです。

むくみとは水分代謝の失調により体内の余分な水分が排出できずに、皮下組織にたまった状態をいいます。向こうずねを押してあとが残るような時は、むくんでいる証拠です。健康な方でも疲れたときや血行不良のときには、軽いむくみが見られることがあります。
心臓から送り出された血液が再び心臓に戻ためには重力に逆らって戻る強い力が必要です。そのためのポンプの役割をするのが足の筋肉で、足を動かすと筋肉が収縮して血管をしごくようにして血液をもどしてくれます。ところが現代は長時間同じ姿勢で過ごす生活が多くなっており、足の筋肉をあまり使わなくなっているので、筋肉量の少ない女性はますますむくみの症状が出やすくなっていると言えます。また女性特有のむくみとしては、水分を溜め込む働きがある黄体ホルモンの影響で、月経の始まる4~5日前くらいから、全身がむくんだり、顔がむくむという症状がみられることがあります。

水分は体にとってとても重要な役割を果たしていますが、「多ければ多いほどいい」といったものではありません。過剰な水分は体に害を与える可能性があるのです。水を吸収し体内へ運搬・回収するまでの過程で、体には大きな負担がかかっています。代謝しきれなくなった巡らない水分は体内に停滞して、血流を阻害したり、体を冷やす原因になります。


たかがむくみと思いがちですが、体が重くてだるい・雨の日は体調が悪い・肥満・眠気・疲れやすい・頭重感・手足の冷え・おりもの・胃のもたれ・吐き気・下痢・頻尿・多汗などの症状が併発しているようなら、むくみとの関連が深いかもしれません。


冷えやむくみの大きな原因のひとつは、運動が足りていないことです。これは何も特定のスポーツをしたり、トレーニングをしなければいけないということではありません。日常の生活(通勤・通学・買い物・家事・・・)の中でも意識して体を動かすことで、血行を促し体内に熱を生み出せます。

しかしながら便利になりすぎた現代では、体を使う機会が少なくなってきています。ずっと立ちっぱなしであまり動かないお仕事の方、またはデスクワークで座りっぱなしの方、ご自宅でもボタン一つで色んな事ができる時代になっているので、血行を促進させ熱を生み出す筋肉を働かせられない女性が増えているのも当然です。そしてこの運動不足はそのままむくみの原因でもあります。

二つ目は、食生活の問題をお持ちの方です。食べたものを体内で分解するときにも熱は生み出されます。食後に熱さを感じられたことがある方も多いかと思います。
またダイエットを経験された女性の方は多いのではと思いますが、間違ったダイエットは体内に熱源を生む要因の一つを犠牲にしていることになります。ではたくさん食べれば熱を生み出せるのかというとそう簡単ではありません。食べ物を消化・吸収して自分のエネルギーに変えるには、実は大変な負担が身体にかかっています。そこでもし胃腸の調子が悪いと、いくら食べても上手く熱やエネルギーに代謝することができないばかりか、かえって胃腸の負担を増やして体調を悪くしてしまう可能性があります。

冷蔵庫のおかげでいつでも良く冷えた食材や飲み物を摂れてしまうのも、胃腸に負担をかけて体を内側から冷やしやすい要因の一つです。現代は季節に関係なく色んな食材を食べれるようになった反面、トマトやキュウリといった、薬膳の世界では体を冷やす作用があると言われている食材をいつでも食することができるようになったのも一因です。

それに不必要な水の摂り過ぎにも注意がひつようです。胃腸が弱ると水分代謝にも影響してむくみを引き起こします。「体にいいはず」と喉も乾いてないのに水をがぶ飲みされていると、いつか水はけの悪い体になっているかもしれません。

夏になると、オフィスや通勤電車の冷房が効きすぎて体調がおかしくなるという女性は少なくありません。そうなると腕や肩がむき出しの衣類やスカートなども、冷えの後押しとなってしまいます。また夜は寝苦しいからといって、エアコンの冷房をきかせて朝がつらい経験をされた方もいるでしょう。冬は冬で、暖房を効かせた室内と、外気の気温差に体の機能が追いつかないこともあるかと思います。このように現代は便利になった反面、体の正常な機能を狂わせる要因が多く、これが冷え性の大きな要因でもあります。

最後に心の状態も冷えに影響することはご存知でしょうか?現代はストレス社会とも言われています。楽しいことを考えているときは、じっとしていても内側からエネルギーが湧いてくる感覚があって体の熱を生み出す働きは活性化されていると言えます。しかしながら抑うつ的な気分が続いたり、感情の起伏が少ない生活を続けていると体の活動レベルが落ちて冷えてきます。

ストレスのない方などいないのでは?という世の中だとは思いますが、心と身体は密接につながっています。少しでも「嬉しい・楽しい」気分ですごし、ほがらかに笑える自分でいることが大切だということに気づくことからでもセルフケアの一つになります。


冷え症は一般的には病気とは診断されません。しかしながら血行不良や水分代謝の障害が根底にあるため、そのままにしておくと様々な疾病の原因となる可能性があります。

単に体が冷えるだけでなく、ひどくなると膀胱炎・頻尿・頭痛・腰痛・月経不順など、さまざまな合併症を引き起こします。中高年以降の場合には更年期障害によりひどくなることもあります。また膠原病や腎炎など重大な病気が隠れていることもありますから、検査などが必要な場合もあります。


むくみについても冷え性と同じく病気としては診断されませんが、たとえば一日中立ちっぱなしの職業の方などは足がむくみがちですが、ひどくなると下肢静脈瘤になり血流障害が進行して大きな問題になるので注意が必要です。

全身にむくみが拡大して、慢性的に続く場合は病気が隠れていることもあるので要注意です。

高血圧症や心臓病などが背後にある場合は、体の末梢部にあらわれます。腎臓や泌尿器の病気が背後にある場合は、顔など体の柔らかいところに現れることが多いようです。腎臓の病気でむくみが起こると、尿の量や回数に異常がでたり、全身のだるさを訴えるようになります。進行すると、タンパク尿や血尿が出ることもあります。

他には甲状腺機能低下症にもむくみの症状があります。また妊娠中のむくみは妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)のおそれもあります。


まずは問診にて、これまでの経緯や体質を判断させていただきます。そして冷えやむくみに至ったプロセスや現在のお体の状態を考慮して、お客様にあった施術をご提供させていただきます。

経絡や五臓六腑に働きかけることで、体を巡る「氣・血・津液」の流れを整えることで根本の原因にアプローチして冷えやむくみを改善していく、推拿をベースにした「整体」はオススメの施術メニューの一つとなります。

胃腸などの消化器系の機能を高めエネルギーや熱の生産能力を高め、水分代謝に大きく関連する泌尿器系の調子を整えることで、血行を促進し、水はけの良いお身体に導くお手伝いをさせていただきます。

他にも、様々な薬効成分を含んだ蒸気で子宮や内臓など体を芯から温めることで末端の血流を改善する「黄土よもぎ蒸し」や冷えとむくみで重だるくなった足裏の反射区を強烈に刺激することで、体の様々な箇所に影響を与えて全身ポカポカになってくる「足つぼ」もオススメです。これらのメニューは組み合わせて受けて頂くこともできます。