あと、残り8.5cmの鉛筆がある。
別に気持ちとしては大切に大切にしてきたわけではないつもりなのに、
なくならずにずっと一緒についてきた。
数えたら、25年の付き合い。
中学1年生の時の担任がクラス全員にくれた。
「高校受験の時に使え。」と。
その言葉通り、使わずにとっておいて高校受験のときに初めて使った。
使った後は削って、しまっておいた。
次は大学受験の時に使った。
推薦とセンター、一般で何度も使った。
初めてこの鉛筆も岡山県から出て、関西の各地へ旅をした。
使った後は削って、またしまった。
次は就職活動。本命の会社の説明会の時に使った。
記憶にないけど、やっぱり削ってから、またしまったのだろう。
最後に使ったのは25歳の時に受けた英検の試験。
その日を最後に出番がなかった。
今この手の中に在るということは、つまりお嫁入りにもついてきたんだな。
この鉛筆はその普通の見かけとは裏腹にどの出番にも猛威をふるってくれて、
全て脳裏に浮かんできた通りの結果をもたらしてくれた。
その鉛筆を私は今年遂に真剣に使い始めた。
今までの人生のどのここぞという時も、今の私の一日一日にはかなわない。
スクールでも、サロンの裏方作業でも、家での企画を練っている時も
研究をする時にも、どんな時にもひたすらずっと使ってきた。
昔みたいに願掛けみたいな気持ちでは使っていない。